コレクション名に動詞を選ぶ理由

AROM. のジュエリーには、すべてイタリア語の動詞をコレクション名としてつけています。
少し珍しいネーミングかもしれませんが、そこにはブランドの出発点と、制作に対する私自身の考え方が込められています。
ブランドを立ち上げたのはイタリアでした。
素材に触れ、かたちを探りながら、自分なりの表現を模索していたその時間が、今のものづくりの土台になっています。
私の中で、アイデンティティの半分はイタリアにあると言ってもいいかもしれません。
コレクション名に動詞を使おうと決めたのも、その延長にあります。
動詞は「動き」を表す言葉。
また、イタリア語の動詞には、-are、-ere、-ireといった語尾の規則性があり、響きも美しく、どこか整った印象があります。
言葉の選び方ひとつにも、心地よいリズムや余韻を感じられることが、私にとってはとても大切です。
私のジュエリーデザインは、明確なテーマや言葉から始まることはほとんどありません。
まずは、漠然としたイメージがふわっと浮かび、それが少しずつかたちになっていきます。
言語化は得意な方ではありませんが、最終的に仕上がった作品に「これはどんな動きだろう?」と問いかけながら言葉を探します。
動詞を通して、ジュエリーに“静かな動き”を宿らせる。
そんな思いを込めて、コレクション名をつけています。
コレクションページや商品ページに添えられた名前にも、そんな背景があります。
作品と合わせて、その小さな言葉にもぜひ目を留めていただけたら嬉しいです。