「LOVE」ほど、ジュエリーに刻まれてきた言葉はないかもしれません。でも、このネックレスが表現したかったのは、その言葉の持つロマンティックなイメージではありません。
「LOVE」という文字そのものが持つ、構造の美しさです。
ここでは、文字を飾りとして添えるのではなく、ネックレスの「仕組み」そのものにしました。開閉金具として機能する、本当に動く部分として。装飾と機能が、境目なく溶け合っています。
余計な甘さは削ぎ落としました。残ったのは、凛としたラインと、静かな緊張感。それが、このネックレスの品格になっています。
愛は、感情だけじゃない。
「LOVE」って、やさしい気持ちだけを指す言葉じゃないと思うんです。
誰かを大切に思うこと。自分のことを認めてあげること。何かをちゃんと選び取ること。そういう、意志に近いものも全部、この言葉の中にあるはずです。
だから、ただかわいいだけのデザインにはしたくありませんでした。もっと、芯のあるかたちにしたかった。
磨き上げたシルバーが光を受けるたび、そのラインは言葉以上の何かを静かに語りかけてきます。
「LOVE」を身につけるって、誰かへの気持ちを示すことだけじゃない。自分がどうありたいか、それを選ぶことでもあると思います。
このネックレスは、そのための、ひとつのかたちです。

